新年が明けた気がした。まさに、明けた気がしただけなのだ。ぐるぐる回っているのは太陽でも月でもなく、自分だった。2022年1月1日。何かを始めるにはちょうど良い、と錯覚するにはちょうど良い日を迎える。

野良猫よろしく、とかく野となれ山となれ精神で日々を駆けたある日、一人の飼い主に拾い上げられてからもう730日が経つ。京都での生活は肌に馴染む…ことも中々なく、日がな一日琵琶湖で過ごすこともしばしば。っていうか今まさに琵琶湖をドライブしてきたところだ。元旦でも開いているカフェを探し、席について一息、なんとなくブログを始めようと思ったら自分のホームページごと立ち上げてしまった。

そんな訳で、ブログを書いている。全然めんどくさいが、今の自分を文章で書き、吐き出していこうと思う。これからも毎日。そう思うだけでめんどくさいが、毎日。ぶっちゃけできないと思う。俺は、俺なんかが毎日文章を書き続けられるわけがないと思っている。

脚色なく吐露すれば案外うつむきがちな心根だ。でも、それはそれで、オレにとっては下が前って感じで、下を向きながら歩けばいい。うつむきがちな毎日を、真っ直ぐ、うつむきながら、とぼとぼ、とぼとぼ、してりゃあよいと思っている。

暮れに佐渡ヶ島を目指し車を走らせた。朝6時に合流したMさんと共に、京都を出て高速道路を北上する。DMで連絡をもらったMさんのことは何も知らない。前もって知っていたのは「高額コンサルを受けたけれどそれによって迷いが生じた」ということだけだった。

高速を高速でかっ飛ばしながら福井県に差し掛かった頃、眠気覚ましに買った一杯のコーヒーをこぼした。否、コーヒーを一杯こぼした。運転中、揺れる車内で傾けすぎたカップ。服に付くとかいうレベルじゃなくザッパーンと顔面に決壊した濁流は口から溢れ、顎を伝い、白いTシャツにはっきりと染みていく。これは、はっきり言って、最高だった。

あんなにこぼしたのは人生で初めてで、こぼした瞬間、やっちまったあああ!取り返しつかねえええ!とまずテンションが上がる。鼓動も体温も上がる。基本ストレートなので入れてはいないけれど、フレッシュな気持ちにも実際になった。真っ黒だけど真っ新な気持ち、と言えばいいだろうか。とはいえ服が気になる。下を向きたい。けれど、下を向いてはならない。ここからが大事なポイントだ。

止まれないスピードで、離すことのできないハンドルを握り、首元からお腹までジュワーっとコーヒーが染みるのをただただ待つしかない、【前を向くしかない】瞬間が到来したのだ。

うつむきたい時はうつむけばいい。振り返りたい時もそうすればいい。でも、前を向くしかない時、そういう時もあることを鮮明に、いや、フレッシュに思い出した。そういう時は本能がそれを選ばざるを得ないことを思い出した。思い出しながら、コーヒーは着実に染みに染みてゆく。俺は笑っていた。前を向くしかない時に、前を向けばいいじゃないか。幸いなことに着替えはたっぷりあるのだから。

白Tを真っ黒に染めるくらいどデカイコーヒーをこぼそう。ほろ苦い香りを全身から放ち、にっこり笑って前を向こう。俺は今、その時点に立っている。

明日死ぬかもしれない。